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【書評】「会社はだれのものか」と聞かれて答えられますか?

「企業」と「会社」の違い、分かりますか?

「企業」は本来、利益を求める経済活動の事で、「会社」は法人が企業を営む事を指します。この整理が本書の出発点です。法人が無ければ企業であっても会社ではないので、例えば個人商店の八百屋はそういった例に該当しえます。

そして、法人というのはモノであって(法律上は)ヒトでもある、という複雑な存在です。モノは誰かが所有できますが、ヒトは誰かが所有するものではありません。

法人のモノとしての所有権は株主にありますが、だから会社は株主のものである、という結論には本書は至っていません。

技術的には、法人の所有者としての株主、株主の委託を受けて法人を経営する経営者、経営者の監督の下で働く従業員、といった概念がある事は踏まえた上で、筆者の主張は下記の通りです。
・本来モノである法人がヒトとして扱われるのはその社会的価値のためである
・その社会的価値は利益の追求だけにとどまらず、会社には果たすべき存在意義がある
・したがって、会社は社会のものである

少し理想主義にも聞こえますが、「企業」と「会社」の区別は最低限つけた上で、これからも様々に「会社」に関わって行く事になるであろう身として、「会社がだれのものか」という事は考え続けていき、折に触れてこの本に書いてあった事は思い出したいなと思います。

なお「会社はだれのものか」という命題が世間一般に問いかけられた出来事として、冒頭にはフジテレビによるニッポン放送のTOBの話とコーポレートガバナンスの話題が取り上げられ、最近読んだ村上ファンド絡みの良書の事を思い出しました。

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